(2017年8月8日号)  PDF版
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主な記事から
 永遠の夏休み!  挫折本   嫌いなはずが愛読書

 
 理系の本特集 
 
永遠の夏休み!
 
 自称「捕食活動家」の著者が、〈身近にいるけど普通は食べないもの〉を捕ってきて味わい
つくす体験を綴ったエッセイ。採集の能力も料理の腕前も至って普通なので、その冒険譚は
どこか間抜けでゆるいのだが、試行錯誤の末にやっとの思いで捕まえた生き物を食べる時
の感動がリアルに伝わってきて、最後まで興味深く読んだ。
 事前の下調べは、毒や寄生虫、漁業権と立ち入り禁止エリアの確認だけ。日常の延長線
上にある狩猟採集ライフを楽しむ著者の姿勢は小学生男子そのものである。
 長野県でザザムシの佃煮を扱う直売所の方の、「元々人類はこういうものを食べてきたん
だなという本能的な哀愁があるんじゃないかな。」という言葉が印象的。地酒との相性が最高
らしいので是非試してみたい。 
 私の地元・滑川のホタルイカについても一章を割いて熱く語っている。巻末に「捕まえて食
べられるリスト」も掲載。根底には深い生物愛があることは疑いない。
捕まえて食べる
玉置 標本 著
●新潮社
●168P 
●ISBN 9784103511410
●本体1,300円+税

バッタにべられたいバッタ博士
 少年時代の夢が「バッタに食べられたい」という謎のバッタ好き昆虫学者。アフリカ北西部
にある国モーリタニアで、バッタの大群を相手に全身緑タイツでその身を捧げる姿は理解不
能の域。
 こうして書くと著者の人間性が疑われるが、研究内容は非常に重要で、大量発生するバッ
タの防除技術開発を実地で行っている。サハラ砂漠でのフィールドワークの日々は、文章か
らでもその過酷さがひしひしと伝わってくる。 
 研究資金の調達や大自然を相手にした研究の難しさなど、大きな問題が次々と起こるが、
バッタへの愛で道を突き進む姿は非常に逞しく、そして面白い。 
 具体的な研究成果はまだ論文として未発表とのことで本文では詳しく書かれていなかった
が、正式に発表次第、著作でも紹介されるとのこと。バッタへの愛がどういった成果を生んだ 
のか非常に気になる。 (崇) 
バッタを倒しにアフリカへ
前野 ウルド 浩太郎 著
●光文社
●384P 
●ISBN 9784334039899
●本体920円+税
 

宙で人気ブロガー!?
 地球を飛び出し、国際宇宙ステーションでの滞在期間中もブログを書き続けた大西卓哉さ
ん。
 毎日の様に更新していたこのブログ。ロケット発射の内部の様子、地球への帰還の際の衝
撃、はたまた宇宙食の食レポなど出来事のすべてにおいてとても詳細に書かれています。こ 
れが実際に宇宙空間で・・・と想像するとSF小説を読むよりドキドキさせられる一面もありまし 
た。 
 さてさて、「ゲン担ぎの立ち小便」って知っていますか?知ってそうで知らない宇宙飛行士の 
あれこれがよくわかる宇宙編が私はとくにオススメです。 (堀) 
秒速8キロメートルの
宇宙から 訓練編
秒速8キロメートルの
宇宙から 宇宙編
大西 卓哉 著
大西 卓哉 著
●教育評論社
●255P 
●ISBN 9784866240077
●本体1,500円+税
●教育評論社
●239P 
●ISBN 9784866240084
●本体1,500円+税
 

系の探求心がうらやましい!
 全員がそうとは限らないものの、書店に勤めているという事で想像は出来るだろうが、完全 
なる文系人間として生きてきた。感覚だけでここまで来たと言っても過言ではない。興味の
持ちようもなかなか持続しない身からすれば、理系のどこまでも追及していく姿勢を羨ましく 
思える。 
 『アヤメくんののんびり肉食日誌』のヒロイン、椿も理系女子大生だ。生物学科の研究室に 
所属し生きている動物は苦手で骨にしか興味がない。そんな椿に帰国子女で恐竜オタクの 
アヤメがグイグイ迫っていく研究室ラブコメディだ。 
 眠っている人をエア解剖したりと椿の骨格好きは徹底している。好きな事への探求心はさ 
すがリケジョと感心する。
 恋愛だけでなく、考古学の話や研究室での研究の様子、学会なども描かれており、文系の 
身からすれば全てにおいて真逆で新鮮さを感じる作品だ。 (米)
アヤメくんののんびり肉食日誌 1
町 麻衣 著
●祥伝社
●188P 
●ISBN 9784396765835
●本体667円+税

系といえば科学、科学といえばSF?・・・なのか?
 表題の通りの連想でSFを取り上げようと思い立ったものの、これだと推せるものがあるほ 
ど自分にはSFの知識がない。そこで、そんな私でも楽しく読めて尚且つちょっとしたSF知識
も身に付いてしまう、今までSFに触れたことが無いという方にもおススメできるコミックを紹介 
することにしました。
 SF小説が大好きなJK小松さんとそんな小松さんが気になる同級生の宮内くん。小松さん
のSF愛に気圧されながらも少しずつ距離を縮めていく宮内くん。ただのラブコメの紹介のよ 
うですが、読み進めていくうち、隙あらばSFネタをぶっ込んでくる小松さんに、知らない間にS 
F愛を植え付けられてしまいます。 
 作者の大井氏はちょっとHなマンガが持ち味の方ですが、本作はかわいくてほのぼのとした 
仕上がりとなっております。「あなたをSFの世界へ誘う読書コメディ登場です☆」(コミック裏
表紙より) (史) 
すこしふしぎな小松さん
大井 昌和 著
●白泉社
●160P 
●ISBN 9784592146667
●本体600円+税

 
知的好奇心がムクムク!
 
 小学生のころは学研の「科学」を心待ちにしていたというのに、いつの間にコテコテの文系に
なっていたのだろう。家の本棚を眺めても、「理系」の本なんてない!
 うーん、困ったと腕組みしていて目に入ったのが、三浦しをんの新刊『ぐるぐる博物館』。国
立科学博物館を始めとする十の博物館(プラス寄り道)を旅したエッセイ本で、帯には「人間っ
て、不思議だ。」とある。うむうむ、ちょっと「理系」ぽいではないか。
 茅野市尖石縄文考古館で縄文人の暮らしに驚嘆し、国立科学博物館では人類史の最前線
に触れる。かと思えば、日本で唯一のSM・フェティシズム専門図書館である「風俗資料館」で
取材を忘れて読書にふける三浦しをん。さすが読者の期待を裏切らない。そして、趣味・嗜好
とはきわめて知的なものであり、知的興奮を追求せずにはいられない人間とは複雑で不思議
な生き物と鋭く考察するあたり、理系読者をもうならせる(?)。
 最も気になったのが石をテーマにした「奇石博物館」だ。読んでいるだけで、石を拾ったら、 
とりあえず割ってみたくなってくる。コンニャク石の腹筋を見るだけでもいい、この博物館に行
ってみたくなる。
 好奇心たっぷり、ユーモアたっぷりにつづられた博物館探訪記。読めばきっと、知的好奇心
が刺激されること請け合いだ。 (香) 
ぐるぐる博物館
三浦 しをん 著
●実業之日本社
●250P 
●ISBN 9784408537078
●本体1,600円+税

空の義とは?
 小学校理科で躓いた私は、消極的文系女子です。 
 そんな私でも毎年、夏が来ると楽しみにしている番組があります。それは「夏休み子ども科
学電話相談」、1984年から続くNHKラジオの長寿番組です。 
 みなさん「空ってどの高さから空か」考えたことありますか?私たち大人が当たり前として考
えてもいなかったことを、子供たちはその柔軟な頭と心で問いかけてきます。本書は子供たち
vs先生方のバトルがライブ形式で書かれており、その臨場感も味わえます。
 今年は『鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ』の著者で話題の川上和人さんも参戦? 
どんなお話が聞けるのか楽しみです。 (み) 
大人もおどろく「夏休み子ども科学電話相談」
NHKラジオセンター「夏休み子ども科学電話相談」制作班 編著
●SBクリエイティブ
●192P 
●ISBN 9784797390643
●本体1,000円+税
 

タイトルにりあり!
 学者の典型例を思い浮かべると、なぜか眼鏡をかけた男性が思い浮かぶ。が、他の学者
はよくても鳥類学者は眼鏡を心配しなければいけないのではと思わされた。
 本書は鳥類学者による鳥エッセイである。あまりの過酷さに眼鏡を山に捧げざるをえない 
(眼鏡紛失)などサバイバルな研究の日々がノンストップのボケとともに綴られる。というよ
り、ボケのあまりに本題を忘れてしまいそう。
 研究生活に遠泳や崖のぼりが必要だなんて・・・。もし家族が鳥類学者を目指そうとしたら
言葉を尽くして翻意を促すだろう。だけども作者にはぜひ鳥類学者を続け、五体満足な状
況で続編執筆に励んでいただきたい。 
 笑ってしまって読み進まないこと請け合い。鳥嫌いには決して書けないであろう一作です。 
 (大) 
鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。
川上 和人 著
●新潮社
●221P 
●ISBN 9784103509110
●本体1,400円+税
 

星に魅せられた文人二人によるしき随想句集
 『星戀(ほしこい)』とはなんともロマンチックなタイトルであるが、星を愛すること比類ないこ
のお二方の共著ならば頷けよう。
 星の和名の収集・冥王星の命名などの業績や、随筆によって星の魅力を生涯伝え続けた
ことから「星の文人」と称された野尻抱影。 
 高浜虚子門下「ホトトギスの四S」とされたが、水原秋櫻子と歩を共にし新興俳句運動の中
心をなす。後に雑誌「天狼」を主宰し、戦後の俳句界を牽引した山口誓子。天狼はシリウスの
別名だ。
 誓子の文字通り綺羅星のごとき星の句を導きに、抱影が連想的に随想の翼を広げる本書
の構成は見事。例えば七月の章はこんな具合。
 星を撒く蛙田の上海の上
の句から抱影は自分の家の周りも少し前までは田圃が多く、初蛙を楽しみにしていたことを
回想する。水を湛えた田に映りこむ星が春星から北斗七星になるころ蛙の声もしげくなり、そ
こから季節が進むと「水田が全部蛙に化けたように」なると記し、
 鳥のよに鳴けるが蛙王ならむ
と即興句を作ったことを思い出す。
 誓子が住んでいた伊勢も沿線に蛙の鳴く水田が多く、そのはずれは波のない平らな内海。
誓子の句はそれを同時にカメラに収め、「夜の海と水田を一つらにし、行く春の星々を蛙の鳴
きたてる空にまき、その影をも映し、同時に黒くしんと横たわる海の空にも星を点在させ」ると
巧緻な技法を解説する。 
 次に古人で蛙と星を詠んだものをいくつか紹介し、其角の
 ここかしこ蛙鳴く江の星の数
を挙げるや、「蛙合」でこの句と句合せとなっている曾良の
 うき時は墓の遠音も雨夜哉
がすかさず出てきて、さらに芭蕉の評が引用される。 
 そして最後に抱影が或る暮春に永観堂を訪れたとき、堂の後ろに池があり、蛙が気うとく鳴
いている岸に「古池や」の句碑が偶然あったのが、深川ではないけれど趣があった、と締める
筆運びには唸るしかない。 (沢) 
星戀
野尻 抱影 随筆 山口 誓子 俳句
●中央公論新社
●224P 
●ISBN 9784122064348
●本体720円+税
 

すごいやつがやってきた
 恐竜博物館でおなじみの福井県から、新たな商品が届きました。伝統産業、「越前和紙」を
使った恐竜ペーパークラフトその名も「わしのざうるす」!和紙ならではの質感で見事に恐竜
の肌を再現(?)。作成してみると、予想を上回るリアルな出来と、和紙の柔らかな雰囲気を
兼ね備えた佇まいに「かわいい・・・。」とじわじわ愛着がわいてきます。
 さて、用意するものは、はさみとボンドとつまようじ。細かい作業なので集中力を要しますが
大人なら三時間程で完成します。もちろんお子様にも挑戦可能です。夏休みの思い出作り 
に、親子で共同作業はいかがでしょうか? (恐)
 

 
 ここからは、連載企画・新刊・話題の商品情報をお届けします。 
 
第3回・私の挫折本〜真夏のホラー編〜
 
 クトゥルフをご存知ですか?熱狂的な信者を持つ、恐怖のアレです。妖怪好きの私としては
気にはなっていても、異形なものであるクトゥルフにはなぜか手が出せないでいました。5年
程前だったか、確か当時三津田信三にはまっていて、怖いもの見たさというやつで、今の自
分なら読めるかも、と思ったのが浅はかでしたね。なかなかページをめくることができません。
どういう訳か頭に入らず、ちょっとした物音にビビり、極めつけには読み進めると、どこからと
もなく魚の匂いがしてくるのです!首筋と腕には鳥肌、本を閉じても魚臭さがまとわりつき、
もしや異界との扉が開いたのでは!まさかダニッチの怪がここにも!?という恐怖でいっぱ
いになり、そのまま文庫本は書棚の奥にしまわれてしまいました。
 もちろんクトゥルフはホラー作品です。ラヴクラフトの生み出した小説にほかなりません。で 
も間違いなく異界の扉と現在が繋がる恐怖の瞬間を体験しました。あまりの恐ろしさに話の筋
も覚えていません。興味を持った方は是非完読して、私に内容を教えてください。 
 (藤) 
ラヴクラフト全集 1
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 著
●東京創元社
●317P 
●ISBN 9784488523015
●本体700円+税
 

連載!ホームズ好きの小部屋 
 
回 すべてはシャーロック・ホームズ愛
 今年はシャーロック・ホームズ登場130年。初登場『緋色の研究』で「彼は(ある分野におい
て)第一級の化学者だと思う」と評され、法医学への偏執的な研究をしていた病院の実験室
でワトソンと出会う。自室でも化学薬品を用いて実験をしていたり、こと事件に関する探求心
は強い。 
 そしてホームズの推理は論理的思考で行われる。徹底的な観察力と膨大な知識によって
分析し推論を立てる。『シャーロック・ホームズの思考術』はこのようなメソッドに着目し、最新
の心理学と神経科学の成果から解き明かされた〈マインドフルネス〉へと自分の脳を導く方法
を解説している。「ホームズの考え方を見習うことで創造性を向上し、よりよい生活を実現す
ることが可能なのだ」と説く。
 推理をしない推理小説好きの私には敷居の高い内容だがホームズ好きでもあるので小説 
との読み合わせが愉しい一冊。 (三)  
緋色の研究 シャーロックホームズの
思考術
アーサー・コナン・ドイル

マリア・コニコヴァ 著
●東京創元社
●260P 
●ISBN 9784488101183
●本体620円+税
●早川書房
●427P 
●ISBN 9784150504540
●本体920円+税
 

ITと編集の俊英による究のヒント集
 編集工学研究所所長でHP上での千夜千冊が有名な「松岡正剛」と、株式会社ディヴィデュ
アル共同創業者でクリエイティブ・コモンズ理事も務める「ドミニク・チェン」による対談集。ドミ
ニクは松岡の著書『空海の夢』(春秋社)に感銘を受け、以前から対談を望んでおり、また松
岡も千夜千冊でドミニクの『インターネットを生命化する』(青土社)の書評を行っており、双方
共に縁があっての対談が実現しました。
 人工知能、シンギュラリティ、VRなど情報技術にまつわる話題から、仏教、哲学、政治、言
語学、生物学、現代美術など縦横無尽に話題が飛び交い、知的刺激に溢れた一冊です。タ
イトルにある『謎床』とは、ドミニクが自社の共同創業者の一人、遠藤拓己により起業の際に
渡された、遠藤家で五十年以上伝わっている糠床(ぬかどこ)に由来します。その糠床の話
題から、生命哲学、松岡自身の病状、最終的に知の糠床こと『謎床』の着想に至ります。
 コンピュータを始めとした情報技術全般に言えることですが、様々なシステムを規定してい 
るのは結局「言語」であり、それは人文科学とも関連する分野です。理系や文系と言った区 
切りを超えて、様々な学問は有機的に結びついていることに改めて気付かされました。
 (岩)
空海の夢 インターネットを生命化する
松岡 正剛 著
ドミニク・チェン 著
●春秋社
●411P 
●ISBN 9784393136362
●本体2,000円+税
●青土社
●365P 
●ISBN 9784791767168
●本体2,800円+税
謎床
松岡 正剛 著
ドミニク・チェン 著
●晶文社
●360P 
●ISBN 9784794969651
●本体1,800円+税
 

 
シリーズ完結記念!〜嫌いなはずが愛読書〜
 
 天才やスーパーマンではない。正義感はあるが正義漢ではない。言葉遣いに上品さはなく
どちらかというと下品、なジョークも言う。経費を水増し請求しているし、たばこは吸うし服装
はだらしない。
 それが、ロンドン近郊デントン市の警部フロストである。
 それでも制服警官にはまあまあ好かれている、現場をわかっているし威張らないから。犯
罪被害者のためにと懸命に働くが、人手不足もあり捜査はわりと行き当たりばったり。
 全然格好良くないし、上司には嫌われている。病気で亡くした奥さんを何年も悼んでいる。
幸せにできなかったと悔いている。 
 そうはいっても新しい出会いには胸をときめかせるし、誘われると迷わずYesと返事する。
が、その日に限って、捜査に進展があり約束を忘れてすっぽかす。ドタバタしながら物語は
進む。 
 事件は陰惨、そんなにはスカッとしない結末だし、主人公は不潔な喫煙者で下品な雰囲気 
なのに、このシリーズを愛読している。なぜだろう。 
 主人公をはじめとして登場人物たちの人間くささがくせになっている?それとも、どちらか
というと下品、なジョークに思わず笑ってしまうから? (睦) 
フロスト始末 上 フロスト始末 下
R.D.ウィングフィールド 著
R.D.ウィングフィールド 著
●東京創元社
●453P 
●ISBN 9784488291082
●本体1,300円+税
●東京創元社
●468P 
●ISBN 9784488291099
●本体1,300円+税

富山県美術館の8/26全面開館が待ちきれない!
 原田マハ最新刊『アノニム』は、今までのミステリー調な作品とはうって変わったエンターテ
イメントに仕上がっている。盗まれた美術品をあるべき場所に戻す、義賊のような怪盗集団
〈アノニム〉が奇才・ジャクソン・ポロックの絵画に挑む!ルパン三世さながらのスピード感溢
れる展開と、いつもながら絵画への深い造詣が感じられる読み応えある一冊だ。
 本書を読むとぜひポロックの絵を間近で見てみたくなる。ここで表題の話題になるが、実は
ポロックは富山県美術館のコレクションに入っているので、展示時期が合えば常設展で見る
ことができるのだ。
 もうひとつ、ポロックの作品はベン・アフレック主演のアクション映画「ザ・コンサルタント」で
もアクセントとなる役割を果たしている。ポロックのカッコよさにシビれたい人はこの映画も絶
対に見るべし。 (斉)
アノニム
原田 マハ 著
●KADOKAWA
●291P 
●ISBN 9784041059265
●本体1,500円+税

用途に根差した
 一般家庭で包丁といえば、おそらく三徳包丁をさすと思われる。ホームセンターや最近で
は百円ショップで売られているのもこの三徳包丁に分類される。三徳包丁の利点は何と言
っても利便性である。
 一説には肉、魚、野菜全てを扱うことができるから命名されたとされるが、なるほど、これ
一本あれば特に料理で困ることもない。しかしながら、世界には数多の食材があり、数多の
料理がある。食材と料理とを結ぶ包丁にも、数多の食材に応じ、切り方に応じたナイフが世
界中にある。独特な形状をし、使い込んだ跡のにじむそれらは見ていて美しい。
 多少手間とお金はかかるが、お気に入りの一本を手に入れてみると、愛着もわき、何より 
料理が楽しくなると思う。鋼材や波紋、柄にもこだわりだしてくれると、一刃物好きとしてはう 
れしい。 (翔)
世界で一番美しい包丁の図鑑
ティム・ヘイワード 著
●エクスナレッジ
●224P 
●ISBN 9784767822891
●本体2,200円+税
 

少々いかもしれませんが・・・
 ダイエットは女性の永遠のテーマですよね。
 ということで、ダイエット弁当はじめました!「ズボラ〜」といった、めんどくさがりでもでき
る!みたいな本が流行っています。本書も手軽さが魅力。「ひとつのフライパンで」、「缶詰
とレンチンで」など普段料理をしない私でも「これならできる!」と思いました。
 それでいて肉も食べられるので、米がなくても満足かつ罪悪感もない。卵やチーズを添え
るメニューもあり、タンパク質も摂取できます。スムージーよりプロテインを!と言われるほ
どタンパク質は重要なのです。
 糖質をやめられない私ですが、コンビニでご飯を買わなくなると、パンを食べる回数は減り
ました。何事も続けることが大事と言い聞かせて頑張りたい。 (古)
女子力アップ!ダイエット応援弁当
井原 裕子 著
●文化出版局
●72P 
●ISBN 9784579213023
●本体1,400円+税

地元マンガプッシュ!!
 この夏新たな富山マンガが誕生しました!!富山県立山町出身の漫画家、町田翠デビ
ュー作『ようことよしなに』は立山町を舞台にした「ムカ友(ムカつく友達)」青春コメディー。
「いたいたこんなヤツ!」と思いつつ憎めないJK青春譚をお楽しみいただけます。
 先日、立山まつりで行われた発売記念サイン会に参加したのですが、著者の地元愛もさ
ることながら、とにかく地元の方々の愛がスゴイです。肌で感じます。これはぜひとも富山
で盛り上げていきたい!!ということで、掛尾本店コミックラボでは地元マンガを集めた特設
コーナーを設けております。是非お立ち寄りください。同じく地元プッシュ『北陸とらいあんぐ
る』も発売中です。 (杉)
ようことよしなに 1 北陸とらいあんぐる 1
町田 翠 著
さちこ 著
●小学館
●160P 
●ISBN 9784091895448
●本体552円+税
●KADOKAWA
●170P 
●ISBN 9784040685823
●本体600円+税
 

お知らせ 
■掛尾本店フェア情報
「富山県美術館に行こう!」 「真夏のゾンビフェア」 「カレー×スパイス」
「身近に迫る危険生物」 etc. 
 
■twitterやってます。 
 掛尾本店 @nakadahonten
 コミックラボ @tomi_labo 
 ファボーレ店 @nakadafavore
 魚津店 @nakadauozu
 イオンかほく店 @nakadakahoku
 小松大領店 @BooksDairyo 
 

 編集後記
 今回の特集は気軽に読める「理系本」を中心にご紹介しました。もっとディープなものを!と
いう方、ぜひ掛尾本店専門書館にお越しください。