(2015年11月20日号)  PDF版
(back numberで表示されている2013年10月15日号までの税込金額は、消費税率5%で
計算されています。)
  

主な記事から
 魚津店リニューアル特集  杉浦日向子を偲ぶ 
 おいしい本、あります 

 
BOOKSなかだ魚津店リニューアル!
 
 10月28日からのアップルヒル20周年祭に合わせて、BOOKSなかだ魚津店もリニューア
ルしました!営業しながらの作業となり、ご迷惑をおかけしました。ボリュームアップした品
揃えで、より一層お楽しみいただけるよう精進して参りますので、今後ともよろしくお願いしま
す!
 それでは、新しくなった売り場を紹介します♪まず、屋外からの入口正面には、話題の本、
ジャンル別ランキングコーナー、テーマフェア、新刊を展開しています。今売れている本が
わかり、気になる本が見つかるかも。ご来店の際は是非チェックしてください。
 大幅に在庫が増えたジャンルは、芸術書、看護書です。芸術書は壁面に移動しました。移
動後もよくお問い合わせをいただく、人気の塗り絵も充実しています。専門書にも力を入れ、 
特に看護書は棚が1列増えました。 
 児童書コーナー中央には、対象年齢別のおすすめ絵本が並んでいます。売り場は季節の 
飾りつけにもこだわっているので是非お立ち寄りください。スタッフによる手作りのフリーペー 
パー「ひこうせんへようこそ」も手に取ってみてくださいね♪ 
 最後に私事ですが、この度のリニューアルとともに魚津店勤務となりました。富山市から1 
時間かけて通っています(汗)。これから冬に向けて、雪道が心配です・・・。皆様もお気を付 
けください。通勤に時間がかかる分、今まで以上に時間の使い方を考えて行動したいと思い 
ます。魚津の美味しいお店も発掘していきたいです♪地元情報誌などで気になるお店を見 
つけても、今までは「魚津か・・・遠いな〜。」と諦めていたところへ行ってみたい! (古) 
 

書店員のにできること
 私が通っていた小学校は某大河ドラマで一時期盛り上がった魚津城址にある。その母校
に通う子供達が近年大幅に減ってきているらしい。
 私が小学生の頃は1〜6年生に各3クラスあり、1クラス40数名ほどの生徒数だったのだ
が、現在はその頃のほとんど10分の1だそうだ。魚津市全体では半分以下になっているら 
しく、今後統合が進められ、現在12校ある小学校が4校になるとのことだ。
 自分の母校がいずれ無くなってしまうというのはとても寂しい話である。魚津の未来を担う 
子ども達が減っているというのはもっと寂しい話である。私には子どもの数を増やすことは出 
来ないけれど、せめて子ども達にとって糧となるような本を提供できる書店員になりたいと思
う今日この頃である。 (中) 
 

がんばれ、ミラたん
 魚津には「ミラたん」というゆるキャラがいる。個人的にはかわいいと思っているこのキャラ
が最近意外な本に登場してびっくりした。脱力系旅行エッセイスト、宮田珠己氏の最新刊で
ある。
 立山黒部アルペンルートの回をご覧あれ。宮田さんはまんだら遊苑や魚津埋没林博物館
を訪れていつものようにゆるーく、でも切れ味のよい突っ込みを入れながら最後にミラたんに
ついて触れてくれている。「頭に蜃気楼の町がのっかっている。ゆるい顔して廃墟被るとは。
サイコパスなんじゃないか。」とずいぶんな言われようだが、結構気に入ってくれたようで、ゆ  
るキャラグランプリで投票もしてくれている。
 というわけでミラたん、きているんじゃないか。と全国ゆるキャラグランプリの現在の順位を
調べたところ、ミラたんは1727キャラ中191位だった。微妙〜! 
 この新聞が発行される頃にはもう投票結果が出ているのかしら。百位以内を目指すミラた 
んに幸あれ! (斉)
全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編
宮田 珠己 著
●廣済堂出版
●245P 
●ISBN 9784331519639
●本体1,500円+税
 

必至
 「蜃気楼家族」でお馴染みの魚津市出身の漫画家、沖田×華さんの最新作『透明なゆり
かご』。
 看護師を目指していた高校時代、産婦人科でアルバイトをしていた経験をもとに物語は
進められていきます。
 望まない妊娠と、心待ちにしていても突然消えてしまう命。性的虐待。母親からのDV。
 苦しくて、切なくてでも愛おしくて涙が止まりません。女性ばかりではなく、男性にも読ん
で欲しい一冊です。 (み) 
透明なゆりかご 1 産婦人科医院看護師見習い日記
沖田 ×華 著
●講談社
●176P 
●ISBN 9784063409574
●本体429円+税
 

おいしいあります
 スイーツに目がない私も、歳を重ねて嗜好が変化した。チョコレートが手放せなかった自
分が、今ではもっぱら和菓子派である。疲れたときに食べたいと思うのは、きんつば、どら
焼き、とらやの羊羹。世に名だたる文人・エッセイストも、和の甘味のとりこであるようだ。
この『ずっしり、あんこ』は数々の著名人のあんこにまつわるエッセイをまとめたものであ
る。汁粉の思い出や「つぶ」か「こし」の好みだったり、好きな甘味処についてなど、あんこ 
愛がぎっしりなので、ついこっちも甘いものが食べたくなってしまう。 
 ああ、このままだと明日のおやつはかりんとうまんじゅうになりそうだ。行きつけの魚津の 
老舗和菓子屋さん。黒糖の香りとあんのベストマッチがたまらない。あのお店ね、と思った 
方、月曜定休ですのでご注意下さい。 (藤) 
ずっしり、あんこ
安藤 鶴夫 著 糸井 重里 著 武田 花 著
平松 洋子 著 上野 千鶴子、他 著
●河出書房新社
●205P 
●ISBN 9784309024196
●本体1,600円+税
 

 
漫画と映画で杉浦日向子を偲ぶ 
 没後十年にちなんで、杉浦日向子原作の映画が二本公開された。『百日紅 miss HOKU
SAI』と『合葬』。前者はアニメーション、後者は実写と表現は異なるが、ともに杉浦作品へ
の敬愛溢れる映像化だ。 
 「百日紅〜」の主人公は腕利きの女浮世絵師お栄。それもそのはず、父親で師匠でもあ 
るのはかの葛飾北斎なのだから。ただ、版元からはお栄の絵はうまいが色気がないと言わ
れ落ち込んでいる。男を知らない身に枕絵はどだい無理な相談なのだ。それでも絵を描く
ことを諦めないお栄は・・・。
 両国橋界隈の風景、「放し鳥」をはじめとした江戸期の珍しい風俗描写、北斎も得意とし
た鳥瞰の効果的な使用など見どころは多いが、圧巻はお栄が雲間から躍り出る竜を一気
呵成の筆使いで絵の中に捉まえてしまうシーンだろうか。 
 「合葬」は幕末上野彰義隊の話。大政奉還成って徳川慶喜は水戸にて謹慎。将軍護衛
の必要もなくなり、加えて江戸市中警備の任も解かれた隊は存在意義を失っていた。が、 
隊員が三千名にまで膨らみ、新政府軍との決戦を望む強硬派が大勢を占めた今となって 
は、犬死必至の戦を止めるすべはなかった。そんな流れの中に「自ら/流されて/止めよう
として」身を投じることになる三人の若者の運命は・・・。 
 杉浦日向子漫画初期の傑作中の傑作だが映画版もその名に恥じない素晴らしい出来。 
どうせ死ぬ身だと深川の郭に繰り出した隊士たちが百物語を始めるくだりは原作にない映 
画オリジナルの趣向。ラストシーンも原作にはないものだ。砂世が尾関に不義を告白した
直後画面は暗転しエンドロールとなるのだが、筆者は砂世は尾関に手討ちにされたと想像
するが、ご覧になった皆さんは如何だろうか。 (沢)
百日紅 上 百日紅 下
杉浦 日向子 著
杉浦 日向子 著
●筑摩書房
●358P 
●ISBN 9784480032089
●本体680円+税
●筑摩書房
●346P 
●ISBN 9784480032096
●本体680円+税
合葬
杉浦 日向子 著
●筑摩書房
●197P 
●ISBN 9784480021922
●本体600円+税
 

今月のオススメ文庫 
 タイトルにもある「櫻子さん」の趣味が(動物の)骨格標本作りというだけで、本当に足下に
死体が埋まっている話ではありません。実際埋まっていたら事件です。
 そして骨に詳しいといっても、薀蓄は語られますが、起こる事件はどちらかというと、普通
の?死体に関して検死の知識を元に解決するものが多く、白骨死体がたくさん出てくるわけ 
でもありません。毎度白骨ばかりが出てくる街とかあったら怖いです。
 内容は骨の発掘作業(日常)が3割、北海道旭川の食べ物3割、事件が2割、関係のない
豆知識が2割といったライトミステリによくある雰囲気なのでこういった感じが好きな人には
おすすめできます。今秋からアニメも始まっているので、チェックしてみてください。
 (澤)
櫻子さんの足下には死体が埋まっている 1
太田 紫織 著
●KADOKAWA
●275P 
●ISBN 9784041006955
●本体552円+税
 

だから清張!
 今年は江戸川乱歩没後50年ということでテレビにて特集番組があった。乱歩は早いうち 
に小説を書かなくなり後進を育てることに力を注いだ。その中でも、いちばん才能があると 
期待を懸けていたのが松本清張だったという。
 そんな松本清張をみうらじゅんがサブカルチャー的に解説する。「今だから清張!」。取 
り上げられた20選には現代人への「学び」あり「法則」あり深く頷かされる。小道具である
モノに対しての考察や崖へのこだわりで知る清張の舞台設定の妙味。すべて面白い。こ
の本を読めば今一度、松本清張を読みたくなる。みうらじゅんも読んでいただけると嬉しい。
 (三) 
ケトル VOL.27 特集 松本清張が大好き!
博報堂ケトル 編集 太田出版 編集
●太田出版
●136P 
●ISBN 9784778314934
●本体900円+税
 

JUMP!!
 表紙、タイトルでつい手にとりました。「浮遊写真」そのものは他にも様々な書籍が発行さ
れ、またSNS上では誰もがやっている目新しくもないものです。とはいうものの、表紙があ
まりにメルヘンチック!写真集というより、絵本の挿絵を見ているような気分にさせられまし
た。突然現れるサラリーマンなほうきおじさんにはきっとクスッと笑ってしまうはず。
 様々なロケーションの写真が満載なので、なんだか天気の良い日に散歩に行きたくなる
本です。 
 この季節、贈り物としてもオススメな一冊です。 
今宵、空で逢いましょう Shall we jump?
halno 著 wacamera 著
●飛鳥新社
●1冊
●ISBN 9784864104036
●本体1,111円+税
 

書評家から選ぶ読書のしみ
 年末になると「このミステリーがすごい!」(通称「このミス」)や週刊文春の「ミステリーベ 
スト10」、本の雑誌「おすすめ文庫王国」など、一年を総括するブックランキングが続々と
発表されます。その中で私が楽しみにしているのが、雑誌「SIGHT(サイト)」の「ブックオブ
ザイヤー」。
 高橋源一郎×斎藤美奈子が文芸編、大森望×北上次郎がエンタメ編を担当しており、 
仕事抜きの一読者として、贔屓にしているブックガイドです。
 ところが、この「サイト」の刊行が不定期で、昨年末は今か今かと待っていたはずなのに
2月末に発売されていたのを見落とすという体たらく・・・。2015年版はいつ出ることやら。
 そういえば、最近発売された『小泉今日子書評集』。読売新聞の読書委員を引き受ける 
条件としてキョンキョンが挙げたのは「私の原稿を没にできますか」という一点のみだった 
とか。彼女も信頼の置ける書評家のひとりです。 (渡) 
小泉今日子書評集
小泉 今日子 著
●中央公論新社
●252P 
●ISBN 9784120047794
●本体1,400円+税

妄想はしい
 妄想・・・誰しも大なり小なりしているに違いない。こんな私でも幼い頃は好きな芸能人に
バッタリ会えたりなんて、毎回違うシチュエーションで考えたりした。可愛い時もあったもの
だ。
 そんな個人のひそやかな現実逃避が誰かにだだ漏れだったら・・・。コミック『高台家の人
々』は妄想が趣味の木絵が主人公。会社の同僚イケメンの高台光正は実は人の心が読め 
る。木絵の妄想に光正はハマリ、二人は付き合う事になった。 
 木絵の妄想炸裂が面白い。どうしてそうなるのか。時折木絵の性別すら変わっている。自 
分の考えている事が誰かに読まれているなんて、そして他人の考えが分かるなど絶対に 
嫌だが、木絵のような人が現実にいるのなら一日テレパスになってみてもいいかもと思っ
てしまった。
 2016年、実写映画化予定。イケメン光正様を誰が演じるのか妄想しながら読むのも楽し 
い。青いカラコン、似合う人希望! (米) 
高台家の人々 1
森本 梢子 著
●集英社
●192P 
●ISBN 9784088451091
●本体419円+税

 編集後記
 祝!新聞リニューアル&「カケオくん」連載開始一周年。掛尾本店改装から始まり、黒部
店開店、かほく店改装、今号の魚津店改装と、思い返せばいろいろありました。2016年も
新聞のネタに困らない一年でありますように。