(2018年1月号)
(back numberで表示されている2014年3月号までの税込金額は、消費税率5%で計算されています。) 
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逆襲される文明
塩野 七生 著
●文藝春秋 ●256P ●ISBN 9784166611409 ●本体920円+税
 極上のエッセイ
 歴史エッセイで古代ローマや中世の地中海世界を紹介してくれる塩野氏の、
同時代に生きていることを実感する貴重なエッセイ集です。初出は「文藝春秋」
の連載。現代世界の様々な事象について歴史からひも解かれた教訓を交えた
視点による見解は、とても興味深いです。為になるだけでなく、とても機知に富
んでいます。塩野氏の文章に何故惹きつけられるのかの答えが、「機知=ユー
モア」なのだ、ということを今更ながら気付き、目から鱗でした。塩野氏の個々の
意見、考えについては賛否あるでしょう。ただ、学生時代に戻って偉大な先達の
忠告・意見を謙虚に伺う、という姿勢になるととてもスッキリします。
 (魚津店 Y)



AX
伊坂 幸太郎 著
●KADOKAWA ●312P ●ISBN 9784041059463 ●本体1,500円+税
 社会に根差す殺し屋
 もともと人間臭くて個性的、反社会的なのに憎めない、そんな殺し屋ばかりが
登場するシリーズである。が、今回の主人公“兜”は輪をかけて人間的である。
物騒なことを平然としたり、されたりする反面、スズメバチ退治に完全武装したり
妻の機嫌を損ねないためにソーセージを食べたりする(その理由は本文を参照
してください。涙ぐましいです)。
 本作には社会的な風刺は少ないため、エンターテイメント小説として楽しく読み
進められる。しかし、ふと殺し屋たちに思いをはせる。反社会的で、人の和を乱
すことを生業としながらも、表裏の社会、人との結びつきから逃れられない。人
が人である以上、人とのつながりは切っても切れない。あの個性的な殺し屋たち
は、そういうことを語っているのかもしれない。
 (かほく店 N)